神経系疲労の回復ための常識

神経系の疲労は最も回復させにくい疲労です。

神経というだけあって、 脳の指令を筋肉に伝える役目を果たしているため、この疲労によって筋肉が出せる力は低下し、 敏捷性も低下してしまいます。

もしかすると、この神経疲労が不調の原因なのかもしれません。
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神経疲労の原因としての乳酸に対する誤解

乳酸については誤解があるといわれています(乳酸原因物質仮説)

話の大まかな流れは次のような内容です。

乳酸は筋肉の中では疲労回復を遅らせると考えられてきたので、速やかに血液中に放出する必要がある。血中に放出された乳酸は肝臓に運んで肝臓でしかできない乳酸をグルコースに戻す糖新生系に依存する必要がある。そのため、 乳酸が脳にも回って、これが筋肉疲労を脳に知らせているシグナルでかつ脳の疲労の原因 物質である。

この考え方に対して、渡辺恭良氏は次のように述べています。

しかし現在では,脳では,乳酸が神経細胞周辺のグリア細胞により作られて神経細胞に供給されていることがわかってきた。神経細胞が急な活動などでエネルギーを緊急に必要 とする時にグルコースからでは間に合わずに、乳酸をもてっとりばやく使うことがわかっている。
このことから考えると、多少血液中の乳酸が増えたからといって、神経活動の妨 げになることはない。我々は、この点を様々な実験系を用いて証明してきた。
また,もっと驚くことは筋肉の活動についても近年決して乳酸やアシドーシスが問題にならない,あるいは逆に筋肉活動に保護作用があることが明らかにされつつあることである。

疲労の分子神経メカニズムと疲労克服

神経疲労の原因についての3つの仮説

神経疲労の原因については、3つの原因があるといわれています。

1.セロトニン仮説

セロトニン仮説は脳内へのトリプトファン供給が増大し、脳内セロトニン濃度が増加することが中枢性疲労の発生につながるとする説です。

運動を長く継続するとエネルギー源として脂肪酸を多く利用するようになります。

そして、脂肪酸は血中では血清アルブミンに会合して運搬されるため、血中のトリップトファンが増大するということが原因になります。

しかし、現実にはセロトニンの微量投与に対して疲労様の行動は確認されていないそうです。

2.アンモニア仮説

長時間の運動、あるいは飢餓などで体タンパク質を分解してエネルギー源とするような状況では、アミノ酸が酸化されてアンモニアが生成されます。

アンモニア仮説は、大量のアンモニアが生成すると一部が脳に到達し、神経細胞に影響して疲労感が生じるとする説です。

しかし、意識に影響するような血中アンモニア濃度上昇が起きるには、かなり強度の高い運動を長時間続ける必要があります。

これは非現実的なことです。

3.サイトカイン説

インターフェロンなど免疫系の応答を調節するサイトカインはガンの治療などに応用されています。

このようなサイトカインの多くは炎症性サイトカインに分類されていますが、ガン治療での、このようなサイトカイン投与は副作用として発熱や疲労感を引き起こすことが知られています。

また風邪やインフルエンザなど感染症の症状に疲労感があることから、サイトカインが疲労感の生成に関与していると考えられています。

何れにしてもこれらの考えは検証中であり、中枢性の疲労発生のメカニズムは現段階ではまだはっきりとしたことは言えないという状況らしいです。

乳酸に対する誤った考えのように、まだはっきりしていないことがあたかもそうであるかのような間違った情報とならないように私たちは注意をしなければなりません、

渡辺恭良氏は「疲労の分子神経メカニズムと疲労克服」の中で次のように記していました。

「疲れは休めのサインです。」

結論


「疲れたら寝なさい」

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