BDNFの分泌量とレジスタンストレーニングの関係


高齢化社会、年金問題、社会不安、孤独死・・・・リタイヤ後の人生を取り巻く状況は厳しく、かつての「経済的ゆとり」や「悠々自適」といった言葉からはかけ離れたものになっています。

そのような状況の中で、人生の最終章を「豊かに」生き抜くためには何が必要なのでしょうか。

その答えは「健康」にあります。

家トレとプロテイン摂取といえば若者限定に聞こえますが、じつは60代にとっても大切なものなのです。
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60代になると誰もが経験する大きな変化

人生終盤という気持ちで迎える60代には、次のような生活の変化が起こります。

  • 定年退職をする
  • 仕事の第一線から退く
  • 子どもが独立し、夫婦だけの生活になる
  • 子どもが結婚をする
  • 孫ができる など

実はこのような変化は、そのことの良し悪しに関わらずうつ病の要因の一つだと言われています。

病は気からと言われますが、60代をいかに健康に過ごせるかが、その人の人生にとって大切になります。

こんなにあったうつ病の要因

環境的要因 身体的要因
幼少時期の厳しい体験
家族や親しい人の死
仕事や財産の喪失
人間関係のトラブル
家庭内不和
就職や退職、結婚や離婚
引越しなど環境の変化
慢性的な疲労
脳血管障害
感染症、ガン、    甲状腺機能の異常
月経前や出産後、更年期
ホルモンバランスの変化
降圧剤、経口避妊薬など

60代に関係があると思われる項目を青色にしてみました。

この表からもわかるように、60代は多くの要因を抱えていることに驚かされます。

まさに60代は潜在的なうつ病予備軍といっても過言ではありません。

退職して夫婦で旅行にと思っていたらいきなりの熟年離婚、あるいは平々凡々に幸せに暮らしていたが、ある日運転操作を誤りコンビニに突っ込む・・・なんてことでも起これば最悪です。

見逃されやすい高齢者のうつ病

高齢者のうつ病の特徴

高齢者のうつ病は体の不調としてあらわれます。

たとえば、胃の調子が悪いだとか、動悸がするだとか、手足が痺れる、また、歯の噛み合わせが悪いように感じるといったような具合です。

高齢者の場合、このような症状を内科で訴えても、原因がはっきりしないことが多く「年のせいですよ」で片付けられでしまうこともあるのではないでしょうか?

高齢者うつ病の見分け方

自分がうつ病なのかどうなのかを見分ける方法はないでしょうか?

これについては、特別なものではなく、全体的な意欲や活動力の低下という一般的なチェック項目が使えるようです。

例えば、それまでその人が楽しんでやってきたことを、急に億劫に感じ始めたり、興味そのものを失ってしまったり、その結果家に閉じこもってしまうというような場合も、可能性は大きくなると言われています。

しかし、自分の不調は体調のせいだ(うつ病ではない)と考えている場合には、判断を誤る可能性もあります。

うつ病の原因(仮説)

うつ病は何が原因で発症するのでしょうか。

その原因は現時点では解明されていません。

ある特定の原因があって発症しているのではなく、いくつかの原因が合わさって発症に至るというのが現在での考え方のようです。

モノアミン仮説

モノアミンとはセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの総称で、神経伝達物質のことです。

このモノアミンが不足しうつ病を発症するという考え方がモノアミン仮説と呼ばれているものです。

1950年に生まれた仮説で、うつ病のすべてを説明できる仮説ではないため不完全な仮説と考えられています。

うつ病の治療の中心となっている抗うつ剤は、このモノアミン仮説に基づいて作られています。

SSRIやSNRI、Nassaなどもモノアミンを増やすのが主なはたらきであり、現在もモノアミン仮説によってうつ病治療は行われています。

これらの薬はすべての人に100%効くわけではありませんが、多くの事例では抗うつ作用が認められています。

そして、50年以上が経っている現在でも、抗うつ剤のほとんどはこのものアミン仮説に基づいて作られています。

神経可塑性仮説

モノアミン仮説を発展させる形で1990年代に生まれた仮説が神経可塑性仮説です。

神経可塑性仮説はうつ病の原因はBDNFという物質の減少が原因であるとする仮説です。

BDNFとは脳由来神経栄養因子のことで、BDNFがrkB受容体に結合することで、神経の新生や発達が起こることがわかっています。

BDNFが減少すると神経の新生・発達が弱まるので神経から分泌されるモノアミンも減少するというわけです。

BDNF(brain derived neurotrophic factor; 脳由来神経栄養因子)は、NGF(神経成長因子)に次いで見出されたニューロトロフィンファミリーに属する神経栄養因子である。培養後根神経節細胞の生存を維持する作用を持つ因子として1982年にYves-Alain Bardeらによりブタの脳から精製された。古典的にニューロトロフィンはニューロンが支配する標的細胞から産生され、その神経終末に取り込まれて逆行性に細胞体に運ばれて機能すると考えられていた。現在ではニューロトロフィン特にBDNFは、軸索を逆行性だけでなく順行性にも輸送され神経終末から放出されてシナプス後細胞に対しても影響を及ぼすことが明らかにされている。BDNFは最初に脳で見出されたが、多くの末梢組織でも産生される。

引用元 老化ゲノム300

神経可塑性仮説誕生の背景

モノアミン仮説が多くの人の支持を得た頃、研究者の間では一つの矛盾が問題になっていました。

それは、脳内モノアミンの増加と抗うつ効果のタイムラグです。

抗うつ剤を投与すると数時間で脳内モノアミンが増加することが研究では確認されていますが、抗うつ剤の実際の効果を感じるには数週間~数か月を要します。

モノアミンが増えればうつ病が治るのであれば、このタイムラグはおかしいわけです。

そのためモノアミン仮説は、「確かにうつ病の原因のひとつかもしれないけど、これが全てではなく不十分な仮説」と考えられるようになりました。

そういう状況の中で神経可塑性仮説が誕生したのです。

多くの抗うつ剤にはモノアミンを増やす作用があります。

モノアミンが増えると間接的にBDNFの産生を増加させますが、この過程には数週間かかると言われており、実際に抗うつ剤が効果を発揮するまでの期間と一致したのです。

運動がBDNFの分泌を促す

最近のいくつかの研究では、有酸素運動によるトレーニングを行うことで、記憶をつかさどる海馬が大きくなることがわかっています。

また、継続的な運動によって、脳の認知能力が強化されることも明らかになってきました。

このように運動をすることにより、BDNFの分泌が盛んになることが明らかにされています。

BDNFには次のような作用があり、認知症の治療でも注目されています。

  • 脳の神経細胞(ニューロン)の新生を促す
  • 脳に栄養を運ぶための、血管形成を促す

ニューロンの新生と血流量の増加で委縮した海馬が真っ先に大きくなり始めます。

さらに血流量の増加は、前頭前野の機能を正常に戻し、扁桃体の興奮は鎮まり本来の機能を取り戻します。

そして、最近の研究ではニューロンが丈夫になるとストレス耐性の向上が期待できることもわかっています。

つまり、運動は再発の予防にも非常に有効だといえます。

また、運動にはうつ病の人に不足しているセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌を促す効果もあります。

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