11日目|徒然なるままに「飲酒と健康」を考える(中間報告)


アメリカの保健科学協議会で疫学調査をもとに「適量飲酒をしている者が最も死亡率が低い」という考えが発表されたのは1993年のことです。

このときの飲酒量と死亡率を表すグラフはその形の特徴から「Jカーブ」と呼ばれました。

それに対し、「酒を飲まないグループには病気で飲めなくなっている人も含まれている」とか「酒に弱い・強いという体質が考慮されていない」という批判がありました。

そこで、日本の含めより詳細な追試が世界各国で行われ、同様のJカーブが得られたといいます。

さらに、飲酒量と死亡率の関係は単純なものではなく、病気ごとに死亡率との相関関係は異なっていることが知られています。

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疾患別の飲酒量と死亡率との相関関係
Jカーブは総死亡率と飲酒量の関係を表すグラフであるが、近年のより詳細な調査により、各種疾患別の発症率、あるいは死亡率と飲酒量との相関関係が把握されている。

飲酒によって発症率・死亡率が上がるもの ガン、脳卒中
飲酒によって発症率・死亡率が下がるもの 心筋梗塞、自殺
※ただし、自殺は酒をまったく飲まないグループと大量飲酒者の自殺率がもっとも高い。

Wikipedia より

つまり、「心筋梗塞で死にたくないからと、飲んでもいいけど癌発症のリスクも高まりますよ」といういうことのようです。

これでは、「適量飲酒は死亡率を下げる」と胸を張って酒を飲み続けるわけにはいきません。

過去記事

「酒は百薬の長」は本当か?

「適量の飲酒は寿命を伸ばす」が国産ではなく、アメリカ産だったなんて少し意外な感じもします。

同じような言葉が日本にもありました。

「酒は百薬の長」という言葉です。

古くから使われていたようで、同じ言葉を吉田兼好の「徒然草」に見つけることができます。

第175段 世には、心得ぬ事の多きなり

かゝる事をしても、この世も後の世も益あるべきわざならば、いかゞはせん、この世には過ち多く、財を失ひ、病をまうく。百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ。憂忘るといへど、酔ひたる人ぞ、過ぎにし憂さをも思ひ出でて泣くめる。

口語訳
こんなことをしても、現世や来世で利益があるなら仕方がない。ところが、現生においては過ちが多くなり、財産を失い、病にかかる。酒は百薬の長とはいうけど、あらゆる病は酒から起こっている。(酒を飲むと)辛いことを忘れるというけど、酔っぱらいは過去の辛いことも思い出して泣いてるみたいだ。

これを見ればわかるように、「酒は百薬の長」で終わりではなく、その続きがあります。

その続きが「(酒は百薬の長)というけど万病の元」となっているわけです。

アメリカの言葉は解釈に注意が必要で、日本の言葉は逆の意味だったということになります。

昔はどうだったか?


では、過去の日本の飲酒の実態はどのようなものだったのでしょうか?

1970年(昭和45年)の調査を境に、アルコール消費量、飲酒者数、大量飲酒者数の数が激増していることが見て取れます。

喫煙、飲酒と栄養摂取の変化(国立がん研究センター)

多くの日本人にとって、昭和45年の生活が体質的にあっているのかもしれません。

適量の飲酒

ただ、適量な飲酒が健康に良いという情報もまったくの嘘ではないようです。

日本酒で1合程度の飲酒は、HDLコレステロールの量を増やすのに効果があるという情報があります。

HDLコレステロールはテストステロンの分泌量を増やすそうです。

これが本当なら酒好きにはたまりませんね。

しかし、問題は1合でやめられるかということです。

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